実家の相続で疎遠な兄がいたため、実印をもらうのに手間取ったケース
状況
相談者は亡くなった方の長女。亡き父名義の自宅に母と二人でお住まいでした。父の相続人としては他に兄もいましたが、生前両親とのちょっとした行き違いから全く交流がなくなって10年以上経過していました。兄の住所もわからないため、父の葬儀に呼ぶことすらできずに数年が経過していました。
相続登記が義務化されると聞いたため、この機会に登記名義を母に変えたいがこのような状況でどうしたらよいか途方にくれていました。
提案・実施
疎遠になってしまった兄も相続人であり、父は遺言書を用意していなかったため、遺産分割協議が必要で兄に何とか協力してもらわなければなりません。戸籍をたどり住所調査をした結果、兄は道外に住んでいることがわかりました。早速事情を説明する手紙を作成してお送りしました。
結果
お手紙をお送りし受け取ったことは確認できたものの、最初は簡単にお返事はいただけませんでした。
内容を検討して再度お手紙を送付したところ、ご協力していただけることになり母名義に登記を変更することができました。
ポイント
関係がこじれてしまい、話し合いに応じてもらえないとなると当事者だけではどうすることもできません。専門家が窓口になって、丁寧に説明することにより協力いただけるケースも多いものです。
これまで相続登記に期限の決まりはありませんでした。2024年4月からは相続登記は原則3年以内にとなります。
疎遠な兄弟や相続人がいると分かっている場合は、遺言書作成など前もって手を打っておくことであとあとスムーズにことが進みます。
専門家に事前の対策をご相談されることをおすすめします。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人いとう事務所
代表
伊藤 みゆき
- 保有資格
司法書士 相続アドバイザー(上級) 終活カウンセラー
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・生前贈与
- 経歴
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司法書士法人いとう事務所の代表を勤める。15年以上、札幌のみなさまの相続手続・不動産の相続登記・遺言書作成・相続放棄・生前贈与等に関するお手伝いをさせていただいている。上級相続アドバイザーや終活カウンセラーの資格も取得しており、相続手続に関する適切な順序や、どの専門家へ相談するべきかについて的確にアドバイスしている。