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不動産(土地や家)の相続手続きを完全網羅!!~費用や流れも解説~

目次

・第一章:不動産を相続する場合の手続きの流れや費用(相続税など)について

・第二章:不動産種別(土地、戸建て、マンション)の相続の手続きと相続税について

・第三章:相続した不動産を売却する手順とは

・第四章:不動産の相続に関するよくある質問

・まとめ

第一章:不動産を相続する場合の手続きの流れや費用(相続税など)について

【1】不動産を相続する手続きの全体を把握しよう 

相続が開始すると、様々な手続きを行わなければなりません。手続きには期限が決まっているものもあるので速やかに進めていきましょう。手続きの全体像とおおまかな流れを把握しておくと慌てずに対応できるのではないかと思います。
相続が開始したら、はじめに「分ける対象である相続財産」と「分ける人である相続人」を確定させます。相続人が一人の場合は別ですが、複数人数いる場合には、相続財産を「だれが」「どのくらい」相続するのかを決めてから、各種名義変更の手続きを行います。
誰がどのように相続するのかを決めるには3つのケースがあります。
① 遺言書に沿って進める
② 法定相続で分ける
③ 遺産分割協議で決める

遺言書があれば、亡くなった方の意思に沿って遺産を分割していきます。遺言書が無い場合、②の相続人が法律で定められた持ち分どおりに分割していくか、③の遺産分割協議で決めるか、となります。特定の相続人が多く相続するなど、法定相続分とは異なる持ち分で分割したい場合、遺産分割協議で進めていくことになります。
相続財産が預貯金や株式など現金化しやすいものであれば、相続人が複数いる場合でも法定相続分に分けることが容易ですが、不動産がある場合には、そうはいきません。不動産のように複数の相続人で分けることが難しい財産は、遺産分割協議で話し合いの上で相続人と分割方法を決めていきます。

不動産を相続することが決まったら、不動産登記を申請して名義を書き換えます。期限はありませんが、自分が登記申請しなければいつまでも亡くなった方の名義のままとなり、売却したくともできませんので速やかに手続きしましょう。

また、不動産相続も当然相続税の対象となりますが、不動産も含めたすべての相続財産と相続人数によって、相続税額が決まり、相続するものによって相続人それぞれの払うべき相続税を算出していきます。詳細は国税庁のHPをご覧ください。

参照:国税庁HP 相続税の計算と税額控除について
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/souzo302.htm

【2】実施事項①:不動産の分割方法を考える 

相続財産を相続人全員で分けることを遺産分割といいます。相続人が複数いる場合に、相続財産はどのように分割するのでしょうか。現金などと違い、土地や家といった不動産は、人数で等分することが難しい財産です。不動産を含めて相続財産の分割方法の代表的なものには、以下の4つがあります。それぞれについて解説していきます。

(1)分割方法①:現物分割とは 

土地などの不動産を、現在の相続財産の形のまま(現物)で、分割する方法を現物分割と言います。相続人が長男、次男の二人である場合、土地Aを長男が、土地Bを次男がそれぞれ相続するというものです。土地が一つの場合には、ひとつの土地を分ける「分筆」という方法があり現物分割の一つとして利用されています。
一つの土地は一筆の土地と言い、一筆の土地の中で所有者や地目を分けることができません。土地を分筆することで、分筆したそれぞれの土地ごとに所有者を登記できるようになります。分筆した土地を長男、次男が相続することで、それぞれの相続する権利が守られますので不公平感が生じることが少ないでしょう。
複数の土地がある場合は相続人がそれぞれの土地の相続登記を行います。一つの土地を分筆する場合の登記手続きは、土地家屋調査士に依頼します。分筆の申請の前に、測量など専門の知識が必要な作業がありますので、プロに任せましょう。
また、もともとあまり大きくない土地を分筆することによるデメリットもあります。例えば賃貸マンションを建てる場合では、土地の広さや形状、道路に面しているかなどが土地の価値を左右するため、細分化されることで土地の利用価値が下がってしまうことも考えられます。

(2)分割方法②:換価分割とは 

換価分割は、財産を一度現金化して持ち分に応じて分けることです。不動産の換価分割は、土地を売却し現金にして分割しますので、公平感のある相続財産の分割方法であると言えます。不動産に関しては、相続し、保有していくために固定資産税や管理費などの費用がかかります。子たちは独立し、親が住んでいた住居と土地が子たちにとって使いみちがないという場合には、不要な不動産を整理するということも含めて、売却し清算する換価分割が適していると言えます。
換価分割のデメリットとしては、3つあります。1つは売却する土地が先祖代々続いていたとした場合、その大切な土地を手放してしまうということです。2つ目は売却の難しさです。土地の売却は買い手がなければできません。土地の場所や形状など利用価値が高ければ良いのですが、そうとも限りません。買い手がつかなければ、換価分割ができないため、大きく値下げをしていくことになるかもしれません。3つ目には、相続税以外の税金が発生することです。土地を売却した場合には譲渡所得税がかかります。売却のために相続人の一人が単独で登記をし、その土地の売却益を他の相続人に渡すことで贈与税がかかってしまうことがあります。遺産分割協議書に、土地の売却は換価分割のためであることや売却益の分割割合など明記しておくことで贈与税がかかることを回避できますので、しっかりと対策しましょう。土地の換価分割は大きな金額と税金がかかりますので、専門家に相談することをお勧めします。

(3)分割方法③:代償分割とは 

代償分割とは、相続人のうち一人が土地などの不動産を相続し、その代わりにほかの相続人に対して法定相続分に相当する金銭などを支払うという方法のことです。土地が分筆によって細分化されることで、その土地の利用価値が下がることがあります。相続した土地などの不動産の価値をそのまま受け継ぎ、その上でほかの相続人に持ち分を分け与えることになるので、公平な分割方法であると言えます。
代償分割のデメリットとしては、土地などの不動産を相続する人に、大きな資金力が必要となることが挙げられます。ほかの相続人への相続分の支払いに加えて、相続した不動産にかかる相続税の支払いも必要です。

(4)分割方法④:共有分割とは 

共有分割とは、ひとつの土地を複数人数で所有する形で、財産を相続することです。長男、次男、三男の3人の子が相続人であった場合に、一筆の土地を各人が三分の一ずつ持ち合います。登記簿の表記も共有持ち分三分の一となり、固定資産税などの費用については3人で連帯責任を負います。共有分割は、遺産分割協議がまとまらなかった場合に仕方なく使われる分割方法であることが多いようです。いったんは公平に分けた形なので公平感がありますが、相続人が共有して土地などの不動産を所有することはデメリットも多いと言われています。
デメリットの一つには、不動産の活用がしにくいということです。一つの土地に対して、3人の子の長男は土地を活用して賃貸物件を建てたいと思っても、次男と三男は売却したいと考えていれば、話しを進めていくことができません。共有となっている不動産の売却については所有者全員の同意が必要です。さらに、3人の子のうち誰かに相続が発生した場合には、さらに土地の共有持ち分が細かく分かれてしまうことも考えられます。共有する人数が多ければ多いほどに、不動産の活用は進めにくいのです。共有による不動産の所有は、避けたいものです。

【3】実施事項②:不動産の名義を変更する 

不動産の分割方法が決まったら、次は不動産の名義変更の手続きを進めましょう。
すべての不動産の情報は国が管理しています。国の下で法務局が、不動産の場所や種類、構造、面積という物理的な情報と、誰が所有しているのかという権利の情報を管轄しています。法務局に不動産の情報を登録することを、登記といいます。相続した不動産の名義を変更するとは、法務局に不動産を相続する自分の登記の申請を出し、法務局が審査を行い、通れば完了します。

(1)相続登記とは   

相続登記とは、相続によって不動産の名義が変わったことを国に申請して登録することです。登記した不動産の情報は、登記事項証明書で確認できます。確認できるのは大きく2つです。

①不動産の基本情報
その不動産がどこに所在して、どういう用途で使用されているのか、広さはどれほどかなど
不動産の物理的な情報が記載されています。土地であれば所在、地番、地目などが、建物であれば所在、家屋番号、種類、構造、床面積などを確認できます。
②不動産の権利情報
登記事項証明書には、その不動産の権利が確認できます。現在の所有者はだれか、取得した時期や抵当権など担保の有無について確認できます。

相続が発生しても、国が管理している不動産の登記情報が自動的に変わることがありません。不動産の所有者が、被相続人から相続人に移るという変更を国に登録してもらうためには相続人が法務局へ申請をして、所有権を亡くなった旧所有者から相続人に書き換える(名義変更)必要があります。これが相続登記です。

相続登記には現在(2020年3月)期限が設けられていません。しかし時間を置くとその間に状況が変わって、手続きが煩雑になってしまう場合もあります。例えば相続開始から少しして相続人が亡くなった場合、さらにその相続人が増えていき、各相続人の戸籍謄本などの必要な書類が増えていくことになります。10年、20年と時間が経つと状況を大きく変わっていき、連絡が取れなくなってしまう人も出てくるかもしれません。親から相続した土地などの不動産を売却したいと思っても亡くなった方の名義のままでは売ることはできません。時間の経過とともに相続人が枝分かれしていくと名義変更が難しくなっていきます。相続登記は相続が発生した際に、しっかりと手続きしていくことが大切です。

(2) 相続登記の手続きの流れとは 

相続登記の手続きは、書類の準備→登記申請書の作成→相続登記の申請の順で進めていきます。

①必要な書類の準備
相続登記を申請する前に、必要な書類を集めておきましょう。必要な書類には「市区長村の役所から取得するもの」と「自分で作成するもの」があります。詳細は(4)で説明します。
②登記申請書の作成
登記申請書はフォーマットにある程度のルールがあるのですが、自作が可能です。法務省のサイトからフォームをダウンロードできるので便利です。
記載する項目を埋めていきます。登記の目的、原因、相続人、課税価格、登録免許税、不動産の表示などを記載します。

 法務省HP:不動産登記の申請書等の様式について
  http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html

③相続登記の申請
相続登記のための準備が出来たら、いよいよ申請します。申請先は、対象となる不動産を管轄する法務局(登記所)です。札幌市豊平区の不動産であれば、札幌法務局南出張所が提出先になります。豊平区と北区に相続登記したい不動産があれば、南出張所と北出張所にそれぞれ書類を準備して申請します。

相続登記の申請まで、順調に進めば1ヵ月程度の時間で準備ができますが、集める書類によっては数ヵ月かかってしまうこともあります。申請書を法務局に提出すると、受付されて、受付年月日と受付番号が発行されます。問い合わせがある場合に受付番号は必要なので控えておきましょう。その後法務局で審査を受けて問題なければ登記は無事完了となります。法務局での審査期間は3~5月の繁忙期を除くと1週間から10日間ほどのようです。不備があれば補正の連絡が入りますが、登記の完了の連絡のない法務局が多いので、受付年月日から登録完了予定日を把握しておきましょう。補正の連絡がなければ相続登記は完了したということになります。

登記が完了したら、書類を受け取りに行く、もしくは郵送で登記完了書類一式を受け取ります。ただし登記完了後に発行される、不動産の所有者である証明になる「登記識別情報通知」は大切な書類で、紛失しても再発行はされません。できれば、窓口に出向いて受け取るほうが安心です。

(3)相続登記に費用がかかる? 

相続登記を申請する際にはいくつかの費用がかかるものがあります。大きくは以下の3つです。
・登録免許税
・戸籍謄本や登記事項証明書などの取得費用
・専門家への報酬(依頼する場合)

登録免許税は登記の名義を書き換えるときにかかる税金です。これは不動産の年度価格の0.4%で算出できます。不動産の年度価格とは固定資産評価証明書(登記申請書の作成に必要)の「価格」に記載されています。これを登記申請書の課税価格に記載します。なお、課税価格は千円未満の金額を切り捨てます。不動産の価格が1千万円なら登録免許税は4万円ですし、不動産の価格が一億円ならば登録免許税は40万円となります。
相続登記をする不動産が2筆以上あって、同じ法務局の管轄であれば、同時に手続きを進める場合、不動産の価格を合算して登録免許税を算出し登記申請書に記載することができます。

戸籍謄本や住民票、印鑑証明書など相続登記に必要な各種書類の申請にも費用がかかります。それぞれの取得にかかる金額は以下の表にまとめました。
戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、戸籍の附票、住民票、固定資産評価証明書、印鑑登録証明書、登記事項証明書を各1通ずつ取得すると3,450円かかります。相続人数や相続する不動産の数によって変動します。

費用項目 金額(計算方法)
登録免許税 不動産の年度価格(評価額)の0.4%
(例)1,000万円なら4万円
住民票、戸籍謄本などの取得費用 戸籍謄本:1通450円
除籍謄本:1通750円
改製原戸籍謄本:1通750円
戸籍の附票:1通200~300円
住民票1通200~400円※
印鑑登録証明書 1通350円
固定資産評価証明書、名寄帳 1通200~400円※
登記事項証明書 1通600円

※取得する市区町村によって費用が変わります

(4)相続登記に必要な書類とは? 

相続登記を申請する前に、必要な書類を集めておきましょう。必要な書類には「法務局や市区長村の役所から取得するもの」と「自分で作成するもの」があります。

役所などから取り寄せる書類は、以下のものがあります。
・登記事項証明書、名寄帳
・被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本一式
・被相続人の除票
・各相続人の戸籍謄本
・不動産を相続する相続人の住民票
・固定資産評価証明書

登記事項証明書は法務局で取得します。相続登記の前に、現在の所有者がだれか、個人で所有しているかまたは共有しているか、などを確認しておく必要があります。
名寄帳は、その人がその市区町村のなかで所有している不動産の一覧表です。被相続人が所有するすべての不動産について知りたいときに取得します。市区町村の役所で取得できます。
除籍謄本とは、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本のことです。
改製原戸籍謄本とは、戸籍法が改正される前の戸籍の写しのことです。昭和22年と平成6年に改正され、それぞれを昭和原戸籍、平成原戸籍と言います。平成6年の戸籍法改正によって、現在戸籍はデータ管理されていますが、それ以前の戸籍を改製原戸籍といい管理されています。平成6年の改正前に生まれた人の死亡の際には、出生から死亡までの戸籍謄本が必要となるため取り寄せる必要があります。
被相続人の除票とは、亡くなったことで住民登録が抹消された住民票のことです。死亡時の住所、氏名、生年月日、死亡したことと死亡した年月日が記載されています。

自分で作成するものは
・登記申請書
・相続関係説明書
などです。
これに加えて相続の方法によって、必要な書類があります。遺言書による相続登記の申請には遺言書が必要になります。遺産分割協議による相続登記の申請には遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が必要です。

マイナンバーカードを利用して住民票や戸籍謄本、印鑑証明書などはコンビニエンスストアのマルチコピー機から取得できるようになりました。現住所と本籍地が異なる場合には、事前に本籍地の市区町村に申請することで離れた地域でのコンビニエンスストアで取得できます。コンビニ交付は市区町村の窓口交付よりも取得費用が安く、休日や夜間でも取得できるので便利です。取扱いに関しては市区町村によって異なるので、市区町村へ確認してください。

(コラム)相続登記は一人でもできるのか 

相続登記をする人の大半は、登記に関わったことのない初心者です。実際、初心者であっても1人で相続登記することは可能です。
相続登記を一人でする場合、3つのポイントがあります。それは「財産」「人」「時間」です。
まず、「財産」ですが、相続財産が多い場合、高額となる場合、自宅以外にも投資用などの不動産がある場合には、相続財産の特定だけでも大変な作業量となります。
また「人」は相続人がだれか、何人かという点です。相続人が自分一人であれば苦労はないのですが、多ければ多いほどに書類が増え、話し合いもまとまりにくくなります。
「時間」については、手続きが煩雑で少々面倒に感じるかもしれません。申請に必要な書類は集めるもの、作成するものがあります。相続登記の申請は法律に沿った形式で申請をしなければ認められないという厳格なものです。当然ですが、書類の記載ミスや不備があれば、呼び出しを受けて出向くことや、書類を再提出することになります。
相続人の数が多い場合は、相続人同士での手続きに時間がかかることや話し合いで揉めることもあります。また相続する不動産が遠方にあるなどの場合、相続に相続税が発生する場合には、司法書士など相続登記の専門家に相談してみることをお勧めします。

【4】実施事項④:不動産の相続にかかる相続税とは

(1)不動産を相続したら相続税がかかる可能性がある(相続対策で不動産の相続税評価を大幅にさげることが可能)

相続が発生し、亡くなった方の財産を相続すると相続税がかかる場合があります。相続税は相続財産が不動産であるからかかるのではなく、預金や株式等有価証券なども含めたすべての相続財産に対して課税されます。相続税がかかるかどうかは、財産の種類ではなく、「相続財産の合計額」が相続税の「基礎控除額」を超えているかどうかで決まります。
基礎控除額とは、相続財産の合計額から差し引いて良い額です。以下の式で求めます。

 相続税の基礎控除額=3000万円+法定相続人の数×600万円

相続人が4名の場合、相続税の基礎控除額は、3000万円+4×600万円なので5400万円となります。相続財産の合計額が5400万円以内であれば、この相続にかかる相続税は発生しません。相続財産の合計額が5400万円を超える場合に、基礎控除を引いた額に対して相続税がかかります。
平成30年12月の国税庁発表によると、個人資産の内訳は土地、家屋の割合が40%を超えていて、相続財産の多くを占めています。不動産の価格が、相続税に大きく左右すると言えるでしょう。相続対策として、この不動産の価格を(相続税評価額)を低くすることで相続税を大幅に下げることが可能です。

国税庁:平成29年度 相続財産の金額の構成比の推移
  https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/3012_01.pdf

(2)不動産の相続にかかる相続税とは 

相続税を算出するために、不動産の価格はどのように求めるのでしょうか。
相続税の計算において、不動産の価格は相続税評価額というものを使います。その算出方法には、不動産が土地の場合、路線価方式のよる評価と倍率方式による評価の2つがあります。どちらを使うのかはその土地の所在によって決まります。
路線価方式による土地の評価は、路線価(1㎡あたりの価格)に面積をかけて算出します。実際には、土地は正方形や長方形などの利用しやすい形のものばかりではありません。欠けている、道路と接している間口が狭い、など利用価値が下がる要因に応じて補正率を掛けて修正します。補正する要因が多いほど土地の評価額は下がっていきます。一方、角地や側方路線、二方路線の土地は利用価値が高く、補正率を掛けて評価を上げる修正をします。

相続財産が、現金で1億円ある場合と公示価格(売買価格)が1億円の土地である場合には、相続税額の算出式に入れる相続財産額が異なります。土地は相続税計算における評価が公示価格の80%程度で算出されるので、現金で財産を保有しているよりも、節税の効果があると言われています。

相続税のほか、不動産を相続することでかかる税金があります。名義変更をする際には登録免許税がかかりますし、換価分割においては現金化するために不動産を売却して得られた売却益に対しては所得税(譲渡所得)がかかります。
通常、不動産を取得すると不動産取得税が課税されますが、相続で不動産を取得する場合には非課税となります。

不動産を相続したときにかかる税金の一覧

税金の種類 要因 内容
相続税 相続 基礎控除額を上回る財産の相続にかかる税金
登録免許税 相続 相続登記にかかる税金
固定資産税、都市計画税 保有 不動産所有にかかる税金
所得税 賃貸 引き継いだ賃貸物件の不動産所得にかかる税金
所得税 売却 不動産の譲渡所得にかかる税金
(3)不動産の相続にかかる相続税の計算方法

相続税は、不動産単体にかかるものではありませんが、簡略的に不動産の相続にかかる相続税は以下のように求めことができます。

①相続財産の合計額を出す
②相続財産の合計額から、税率を出す
③土地にかかる相続税を出す

まず①ですが、土地などの不動産以外に現金やゴルフ会員権などの権利、借地権や車などと借金も含みます。例として、相続財産は以下のもので、相続人は子2人とします。
・土地4000万円(固定資産評価証明書記載額)
・現金2000万円

土地の相続財産としての価格(相続税評価額)は、年に一度送付される固定資産評価明細書に記載されている土地価格をもとに簡略的に算出することができます。

 土地の相続税評価額=固定資産評価額×1.14

この計算式の内訳ですが、もともと固定資産評価額は時価の70%程度で計算されています。一方、相続税評価額は時価の80%程度で設定されているので、相続財産に入れる土地価格を割り出すためには70%で割り戻し80%を乗じる(1÷0.7×0.8=1.14)必要があるのです。
土地の価格は4000万円×1.14で4560万円となり、相続財産の合計額は6560万円です。

②は、相続財産が①の6560万円で相続人が2人の場合、相続税を算出すると、254万円となります。相続税の算出方法は複雑なので、詳細は国税庁のHPを参照してください。
 国税庁HP:相続税の算出方法
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm

②で相続財産全体にかかる相続税が254万円であると算出されました。このうち土地にかかる相続税がいくらなのか、は相続財産全体の土地が占める割合で求めることができます。
相続財産全体は①のとおり、6560万円です。そのうち土地は4560万円で約70%です。
相続税額254万円のうち70%の177.8万円が土地にかかる相続税額となります。

(コラム)不動産の相続に際して相続税以外でかかる費用はある?

不動産の相続において、気になるのは相続税の額ですが、相続税以外にもかかる費用があります。どんな費用があるのかを、以下のCASEで見ていきましょう。

【CASE1】
相続財産をうまく分けることができず、換価分割をすることにしたAさん。
相続財産の分割のため不動産を売却する場合の費用を考えてみましょう。

(1)不動産の売却益にかかる譲渡所得
通常、土地などの不動産を売却して、利益が出たときはその利益分(譲渡所得)に対して譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は不動産の売却額から取得費と譲渡費用と特別控除などを差し引いて算出した額に税率をかけて求めます。
不動産の譲渡所得税は、長期保有の場合の約20%(地方税5%、復興特別所得税含む)ですが、保有期間が5年未満で短いときは、土地の値段を吊り上げるのを防ぐため譲渡所得税は約40%(地方税9%、復興特別所得税含む)と高く設定されています。
ちなみに相続における換価分割であれば、Aさんは不動産を取得してから短期で処分することが想定されますが、相続の場合には、亡くなった方が取得した時点からの保有期間で短期か長期かを判断することになります。

【CASE2】
Bさんは自宅を相続し、代償分割で弟の相続分相当の金銭を支払うことにしました。

(2)代償分を受け取るときに贈与税がかかる?
代償分割において、家を相続したBさんが弟に代償として金銭などを支払った場合、贈与された弟に贈与税がかかる場合があります。遺産分割協議書に代償としての贈与であることを明記しておくことで、贈与税がかからないことを認めてもらえます。
また、家を受け継いだBさんは翌年から不動産にかかる固定資産税の納税義務が発生します。

(3)不動産の登記費用
CASE1、CASE2ともに不動産の相続登記が必要です。
CASE1はすぐに売却してしまうとはいえ、Aさんはいったん不動産登記をしなければいけません。亡くなった方の名義では不動産を売買できませんから、便宜上、相続人のだれかに名義変更をして、それから売却をします。
不動産の名義書換(不動産登記)には登録免許税のほか、戸籍謄本等の取得郵送費用などの実費に加え、司法書士などのプロへ依頼している場合は報酬支払いが発生します。不動産登記は自分一人でできないこともありませんが、素人が完了させるには手続きが複雑なのでプロの手を借りることはおすすめです。ちなみに、司法書士などに依頼した場合の報酬はおおよそ10万円~20万円程度のようです。

第二章:不動産種別(土地、戸建て、マンション)の相続の手続きと相続税について

相続する不動産には、いろいろな種類があります。大きく分けて土地のみ、戸建て物件、マンションです。いずれの不動産においても、被相続人の相続財産が不動産だけである場合を除いて、相続のための手続きや相続税の算出については、まず相続財産全体を把握していくことから始めます。
相続財産全体額の算出、相続人数、誰が何を相続するか、その相続の方法が決まったら、いよいよ相続財産を分割していきます。不動産は、種類によって相続の方法が適するもの適さないものがあるなど、異なる点があります。土地のみ、戸建て物件、マンションのそれぞれにおいて、相続する場合のチェックポイントはどんな点なのかを見ていきましょう。

【1】土地のみを相続する場合のチェックポイント

①土地を相続する場合の手続きや方法 
相続財産の分割には、第一章の【1】において説明しましたが、相続財産の分け方には現物、換価、代償、共有という主に4つの分割方法があります。土地のみの相続においては、すべての分割方法が当てはまります。
現物分割においては、一筆の土地を相続人で分割することもできます。土地を売却して相続人で売却益を分ける換価分割も可能ですし、相続人のうち一人が土地を相続し、他の相続人に対して代償を支払うこともできます。また土地を共有で相続することもあります。
土地を相続したら、相続登記をして名義を書き換える必要があります。現物分割で一筆の土地を2つに分割する場合にも、換価分割で売却をする場合にも、共有分割とする場合にも、被相続人から相続人へ相続登記を変更します。

②土地の相続にかかる相続税と計算方法 
土地の相続にかかる相続税は、相続財産全体を求めることから始めますが、
相続する土地の価値を算出します。土地の評価方法は、路線価方式と倍率方式の2種類があります。その土地の場所によってどちらの方式を使うのかは決まっています。その土地が住宅地や市街地にあるならば、路線価方式が使われます。
路線価は、道路に面した宅地の1㎡あたりの評価額です。宅地は住居用の土地以外にも店舗や事務所、工場などの事業用の土地も含みます。路線価に土地の面積を乗じると土地の価値を求めることができます。
ただし、路線価の算出には、細かな注意点があります。土地の環境や特徴はさまざまです。角地であると交通の便が良い、正方形や長方形の土地は利用しやすいなど、特に良い点を持つ土地がある一方で、角が欠けていたり、台形であったり三角形の形である、道路に面している部分が少ない(間口が狭い)、など使いにくい形状の土地もあります。このような状態を反映させるため、路線価から算出した土地の価値に特徴に合わせた補正率を乗じて、土地の価値を算出していきます。

一方、人口が少ない地域の土地や田畑などには倍率方式を使用して土地の評価をします。
宅地、田、畑など土地の現況によって設定されている倍率を、固定資産税評価額に乗じて求めることができます。路線価のように補正の必要がないので、容易に算出できます。
路線価と評価倍率は国税庁のサイトで公開されているので、確認してみましょう。

 国税庁HP:路線価図と評価倍率表
 http://www.rosenka.nta.go.jp/

③土地の相続における注意点 
土地を相続すると、相続税のほかに登録免許税など相続登記に費用がかかります。
しかしそれだけでは終わりません。土地を相続する場合には、相続した翌年から固定資産税を支払うことになります。また、その土地が更地の場合には、小規模住宅用地の特例が適用されないため、住宅用地の課税標準額が固定資産税評価額の6分の1になるという軽減措置を取ることができません。住宅用地の相続による土地の固定資産税と同じように考えていると高額に感じられるでしょう。土地の評価が高ければ、相続税のみならず固定資産税も高くなります。毎年の税納付分の費用確保への対策もしておくと良いでしょう。

【2】戸建て物件を相続する場合のチェックポイント

①戸建て物件を相続する場合の手続きや方法 
戸建て物件を相続する場合には、土地のみの相続とは分割方法が異なります。土地の上に立つ物件を等分に分割することができないため、戸建て物件の相続には現物分割の方法をとることが難しいのです。
換価分割においては、戸建て物件を売却して現金化した上で、相続持ち分に応じた相続財産の分割をすることができます。現金にすることで、公平感のある分割が出来ると言えます。 代償分割は、亡くなった親と同居していた子が戸建て物件を相続し、そのまま住み続ける場合によく取られる分割方法です。小規模宅地の特例を受けることができますので相続税の軽減を図ることができます。
また、共有分割でひとつの戸建て物件を相続することも可能です。
②戸建て物件の相続にかかる相続税と計算方法 
戸建て物件の相続税を考える前に、まずは戸建て物件の価値を出してみましょう。戸建て物件の場合、土地と建物に分けて価値を算出し、合算して価格を求めます。
住宅の建っている土地が路線価区域に該当する場合は路線価方式で評価額を算出します。国税庁のサイトに路線価図が公開されています。路線価は千円単位の数字で表示されています。その数字が1㎡あたりの価格ですので、敷地面積をかけると土地の評価額が出ます。

  土地の評価額=1㎡あたりの路線価×敷地面積

建物については、固定資産税評価額を用います。毎年、市区町村から送付される固定資産税課税明細書に記載されているので、確認してみましょう。

土地、建物の評価額を足して戸建て物件の価値が算出できたら、相続財産に含めて全体の額を求めます。法定相続人数が何人かが分かると基礎控除額がいくらかが分かり、この相続にかかる相続税の全体が見えてきます。相続税がかかる場合、相続財産のうち戸建て物件の評価額が占める割合を全体の相続税額に掛けることで戸建て物件にかかる相続税の概算が算出されます。
戸建て物件は、被相続人が居住しているものが多いと思います。配偶者や同居していた親族がいる場合などには、要件を満たすことで小規模宅地の特例を適用することが可能です。居住用の土地であれば、対象になる面積の制限がありますが、土地の価値の80%を減額でき、大きく相続税を減らすことができます。

③戸建て物件の相続における注意点 
換価分割の場合、不動産を売却することによって得る利益(譲渡所得)に対して所得税がかかります。また、相続した住宅は住み続けないため、小規模宅地の特例適用による相続税の減額もありません。
代償分割の場合は、相続する子がほかの相続人に対して代償する資金力が問題になります。
共有分割においては、あとあとになって建て直しや売却などの決断に意見がまとまらないことでトラブルになることや、権利を共有している相続人が亡くなって相続人が増え、いっそう権利関係が複雑になることなどが懸念されます。
戸建て物件の相続には、複数人数の相続人がいると、揉めることが多いです。できるなら相続が起きる前に家族全員で誰が住居を相続するのかを話し合って、遺言書を残してもらうことが望ましいです。

戸建て物件の相続において、重要な変更点があります。2020年4月から、民法の改正によって新たに創設された「配偶者居住権」が施行されます。配偶者の待遇を改善するために設定されたもので、今までは、配偶者の相続において他の相続人との相続財産の分割のために、住み続けた住居を売却しなければならないケースがありました。「配偶者居住権」を利用することで、配偶者は居住する権利を得ます。
戸建て物件の相続において、デメリットもあります。配偶者居住権は権利の期間を設定できますが、設定しなければ亡くなるまで権利が継続します。途中、病気で入院、あるいは介護施設に入居することとなった場合にも自宅を売却したくともできない、ということも想定できます。本人が配偶者居住権の期間の変更はできますが、認知症になった場合には亡くなるまで権利は続きます。

【3】マンションを相続する場合のチェックポイント

①マンションを相続する場合の手続きや方法
マンションを相続する方法は【2】の戸建て物件と同様に考えることができます。相続財産の分割において、相続人のうち一人がマンションを、他の相続人は車と現金を、と現物分割が成り立っていれば良いのですが、相続財産がマンションだけとした場合、戸建て物件と同様に、ひとつのマンションを等分することは難しいため、それ以外の分割方法を選びます。マンションを売却し相続財産を分割する換価分割、マンションに同居していた相続人がそのまま住み続ける場合などには代償分割の方法が取られることになります。共有分割をすることもできます。

②マンションの相続にかかる相続税と計算方法
マンションの相続にかかる相続税を出す前に、まずはマンションの価値がどれほどなのかを算出します。マンションの評価はどのようにするのでしょうか。
不動産の評価は、土地と建物に分けて算出します。マンションの土地については、路線価による評価方式を使用します。路線価は国税庁のサイトで公開されています。道路に1㎡あたりの価格が表記されているので、マンションの敷地面積を掛けてマンション全体の土地の価格を出して、それに相続するマンションの持ち分割合を掛けて算出します。

  マンションの土地の価値=1㎡あたりの路線価×宅地面積×持ち分割合

建物については、戸建て物件と同様に、固定資産税評価額を用います。毎年、市区町村から送付される固定資産税課税明細書に記載されています。紛失した場合は市区町村に問い合わせて確認してみましょう。
上記で算出した土地と建物の評価額を合算したものが、マンションの評価額になります。
マンションを含めた相続財産全体の価値を出して、相続人数を確定し、控除できるものを差し引き、相続税全体を算出してから、相続財産全体に占めるマンションの評価割合を掛けることで、おおよそのマンションを相続する場合の相続税を出すことができます。
マンションについても、敷地権がありますので、要件を満たしていれば小規模宅地の特例を適用できます。相続するマンションが、被相続人の住居であり、配偶者や同一生計の親族が住み続ける場合など、小規模宅地の特例を適用することができます。事業用、貸付用も同様です。

③マンションの相続における注意点 
代償分割において、マンションを相続する場合には、ほかの相続人に対して、代償となる分を支払わなければなりません。資金が十分にあるのかが問題になってきます。
共有することに関しては、注意しなければいけません。マンションを売却する際には共有する相続人全員の同意が必要ですが、相続人が複数いることで、意見の相違が出て、うまくまとまらないこともあります。また、マンションは保有することで、固定資産税や管理費の支払いなどの費用が発生します。固定資産税は共有名義の人それぞれが持ち分ずつ払うのではなく、土地、建物に対する代表者がまとめて支払うことになります。だれが支払うのか、他の共有名義人からの費用徴収方法についてもしっかりと取り決めておく必要があります。
居住しない場合には、賃貸として利用することも検討していくのも良いと思います。ただし、築年数が古いマンションの場合は、借り手がつきにくくなること、このため家賃を下げることになることなども懸念されます。

【コラム】小規模宅地の特例とは

小規模宅地の特例とは、相続人などが最低限の居住・事業を継続していくことができるようにつくられた相続税の特例です。
被相続人の相続財産のなかで、居住や事業に使われていた宅地は、相続人が引き続いて居住、事業をしたいと思っても、居住する家の宅地に係る相続税が高くて家を手放さなくてはならない、ということがないように、相続人が安心して居住・事業を続けられるように配慮されたものです。この特例は、一定の要件を満たすことで、相続財産の居住用の宅地と事業用の宅地の相続税評価額を最大80%減額することができます。小規模宅地の特例を申請することで、大きな節税効果が生まれます。

①小規模宅地の特例の適用について
対象になるのは居住用宅地と事業用の宅地で、以下の3種類があり適用される土地の種類によって要件が異なります。

1)特定居住用宅地等
被相続人が居住用に使用していた土地に、配偶者または被相続人と同居していた親族、あるいは同一生計をともにしていた親族が相続して住み続ける場合は、小規模宅地の特例が適用されます。例えば、父と子が2人で暮らしていて父が亡くなったあと、子が土地を相続しそこに住み続ける場合に特例が適用されますが、子が相続した居住用の土地を事業用に変えてしまうと、用途が変わるため、特例が適用できなくなります。
 また、被相続人に配偶者も同居人もいなかった場合、同居していない親族でも要件を満たすことで小規模宅地の特例が適用されるケースがあります。要件は相続する親族は3年以上持ち家に住んでいないこと、相続した住居を相続税の申告期限までは売却しないことなどです。「家なき子」制度とも言われます。
同居していない親族が特例を受けるためには、相続する人の戸籍の附表と相続開始3年以内に住んでいた賃貸契約の写しなど、持ち家を持っていない証明となるものの提出が必要です。

2)特定事業用宅地等
被相続人が行っていた事業を引き継ぐ場合に、事業用宅地に小規模宅地の特例を適用することができます。
 
3)貸付事業用宅地等
被相続人が行っていた不動産貸付事業を相続し継続していく場合に、不動産貸付事業用の宅地に小規模宅地の特例が適用されます。

②特例のポイント
小規模宅地の特例の対象になる宅地は以下の3種類です。定義と要件をまとめました。

土地の種類 定義・要件
特定居住用宅地等 定義:住居として使われていた土地
要件:
 ・被相続人または生計一親族が住んでいた土地を配偶者が相続する
 ・同居の親族が、相続した土地に住み続ける
 ・生計一親族が、相続した土地に住み続ける
 ・持ち家がなく賃貸物件などに住む別居の親族(家なき子制度)
特定事業用宅地等 定義:事業で使われていた土地
要件:
 ・被相続人が亡くなる3年以上前からその土地で事業を営んでいる
 ・相続税の申告期限まで、相続人が事業を継続する
特定貸付用宅地等 定義:不動産貸付で使われていた土地
要件:
 ・被相続人が亡くなる3年以上前からその土地で不動産貸付業を営んでいる
 ・相続税の申告期限まで、相続人が不動産貸付業を継続する

 

また、小規模宅地の特例には、適用される面積の限度があります。土地の種類別の適用上限面積と減額割合は以下の通りです。

土地の種類 限度面積 減額率
特定居住用宅地等 330㎡ 80%
特定事業用宅地等 400㎡ 80%
特定貸付用宅地等 200㎡ 50%

特例の適用によって相続財産価値を大きく減らすことができ、相続税額を大幅に減らすことができます。代々続く土地を相続しやすく考慮された特例です。適用できるかどうか要件を確認してみましょう。

③特例の注意点
相続税の節税効果の高い特例ですが、適用要件が厳しくなりました。
特定居住用宅地等においては、「家なき子制度」を悪用して相続税を安くしようとすることを防ぐため、平成30年度の相続税改正によって条件が厳しくなり、現在は経過期間が取られています。
同様に平成31年度の税制改正によって、特定事業用宅地等に小規模宅地の特例を適用させるには、被相続人が亡くなる前3年以内に事業用として使い始めた場合には適用外となりました。平成30年度の税制改正によって貸付事業用宅地に小規模宅地の特例を適用させるには、被相続人が亡くなる前3年以内に貸付け事業を行った場合は適用外となりました。

国税庁HP:小規模宅地の特例
   https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

第三章:相続した不動産を売却する手順とは

相続した不動産を引き継いで使用しない場合には、売却を考えていくと思います。しかし不動産を売却するにはどのような手続きが必要なのでしょうか。不動産の売却の流れを、4つの手順にまとめました。

【1】手順①相続する土地を相続登記で名義変更する

土地を相続したら、まずは土地の名義を変更する手続きをします。これが相続登記です。相続する土地の名義は相続人が法務局に相続登記の申請をし、所有権を移転してもらいます。土地は、亡くなった人の名義のままでは売却できません。相続した土地を売却したいと考えているならば、まずは相続登記を済ませましょう。

【2】手順②不動産業者に売却依頼をする

不動産を売却するためには、不動産の買い手を見つけなければいけません。一般的には不動産業者に売却依頼をします。売却方法には「買取」と「仲介」があります。買取は主に買い手が不動産業者になりますので売買契約が比較的短期間でまとまりやすく、資金を早く手にしたい場合に有利です。仲介は不動産業者が買い手を探して、手数料を取ります。仲介は買取よりも時間がかかりますが、査定金額は買取よりも高くなる傾向があります。査定金額は不動産業者によって変わります。いくらで販売してくれるのか、数社から相見積もりを取って比較検討して、売却依頼をする不動産業者を決めると良いでしょう。

【3】手順③買い手がつきやすい土地にする

相続した土地に住居が建てられていた場合には、住居はそのままにしておくのか、解体すべきかどちらが良いのでしょうか。
相続した住居が古ければ、資産価値が大きく減りますので、売却までの時間がかかっても固定資産税が低いまま保有できます。また、解体費用は坪単価3万円程度かかるとすると100万円以上の解体費用を払わずにすみます。しかし、買い手の立場から考えると、住居を解体した更地のほうがすぐに建設に取り掛かることができますし、建物の解体費用の負担がありませんので使いやすいでしょう。更地のほうが売りやすいと言えます。ただし、建物を解体してしまうと、固定資産税が上がってしまう事も考えられますので注意が必要です。

【4】手順④不動産の譲渡所得税を支払う

相続した不動産が売却出来たら、売却したことで得られた利益に対して新たに税金が掛かります。不動産の売却利益とは、売却金額から購入金額と売却にかかった経費を引いたもので譲渡所得と言います。譲渡所得には所得税と住民税がかかります。

 売却利益(譲渡所得)=売却金額-購入金額(取得費)-譲渡経費-特別控除額

譲渡所得の算出、取得費に加算されるもの一つとっても判断が難しく複雑です。詳細は、国税庁のサイトを参考にしてください。
 国税庁HP:土地や建物を売ったとき
   https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm

譲渡所得に対して所得税15,315%と住民税5%、合計20.315%が課税されます。
通常の不動産譲渡においては、短期保有(5年未満)の場合は課税される所得税は30.63%、住民税は9%と大きく上がります。土地の投機目的での購入売却による土地価格のつり上げを防ぐためです。被相続人の保有期間は引き継ぐことができます。
不動産の譲渡所得税は、自動的に課税されるものではありません。不動産を売却した翌年の確定申告で、利益が出ていれば税務署に申告しましょう。

第四章:不動産の相続に関するよくある質問 

【1】質問①亡くなった親名義のままで家に住み続けることは可能ですか? 

亡くなった親名義のまま、家に住むことは可能です。相続登記には期限が設けられていないので、法律に反しているわけではありません。ただし名義変更を先延ばしにすることによって、相続人の状況も変化していきます。先延ばしせずに、相続した不動産の相続登記の申請をしましょう。

【2】質問②父が亡くなってから10年以上名義変更を行っていません。問題はありますか? 

相続登記には期限がなく、相続登記をしないでいることに対する罰則はありません。しかし、相続した不動産を売却したい場合、売り手の名義が亡くなった方では売却できません。また、相続人が複数いるのであれば、話し合いで決まっていた不動産の相続に関して相続人の気持ちが変わることもあり、のちのトラブルの元になるかもしれません。

【3】相続人が兄弟3人います。一つの不動産を3人の共有名義で相続登記することは可能ですか? 

一つの不動産を3人の共有名義で相続登記することは、可能です。しかし将来的にトラブルになることもあります。いざ売却したい場合、3人全員の同意が必要ですが話しがまとまらないことや、時間が経つうちに3人のだれかの相続が発生し、共有名義の持ち分がより細かく分かれてしまうと意思統一がより難しくなります。このため共有名義での相続登記はあまりお勧めできません。

【4】相続した不動産が地方にあります。私は都内に居住しているのですが、相続登記は都内で行うことはできますか? 

相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。遠方であれば、不動産登記の申請は書類の持ち込みのほか、郵送でも受け付けています。申請に必要な書類の取り寄せなども郵送で依頼することができます。ただし窓口での相談ができない、郵送のため登記完了までに少し時間がかかります。

【5】相続した不動産を売却しました。税務署から税金支払い通知書が送付されてくるのでしょうか? 

相続した不動産を売却した場合、税務署から税金の支払通知はありません。不動産を売却した場合にどれだけの利益があったのかを税務署が自動的に計算してくれることはありません。不動産を売却して利益が出れば、その利益に対して所得税が課税されますので、自分で確定申告をし、納税しましょう。売却価格よりも購入価格や売却費用がかさんで、利益が出なかった場合も、確定申告をしましょう。損益通算で、税金を抑えることができる場合があります。

【6】相続した住居が空き家になっています。どうすればよいでしょうか? 

最近は空き家の問題が増えています。そのまま放置しておくと、屋根や壁の落下や倒壊などの恐れがあることと、不法に住居に侵入して住みつくなど、犯罪や放火などの可能性もあります。被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例もありますので、早めに相続登記の手続きをして、活用するか売却するかを検討することをおすすめします。

【7】親が住んでいた実家を相続しましたが、必要がないので売却しようと思います。相続登記は必要ですか? 

活用方法がない不動産はすぐに売却するからといって、名義をそのままにしていては売却できません。亡くなった方の名義のままでは不動産は取引ができません。売却したい人と名義人を揃えるために相続登記が必要です。

まとめ 

不動産を相続すると様々な手続きが発生します。
具体的にどのようなことをしなければならないのか、不動産相続の流れと手続きについてまとめてきました。
第一章では不動産相続の手続きの流れと費用について説明しています。不動産含めて相続財産の分け方にはいくつかの方法があります。現物分割、換価分割、代償分割、共有分割のそれぞれの方法について解説しました。
相続する不動産は、名義を変更する必要があります。いつまでも亡くなった方の名義にしていることにメリットはありませんし、かえってデメリットとなることが多いのです。相続登記には期限が定められていないため、面倒な手続きを後回しにしてしまうことになると、時間の経過とともに、さらに手続きが煩雑になってしまいます。相続した不動産は、速やかに相続登記をしましょう。ここでは不動産相続税の計算方法についても説明しています。
第二章では不動産種別(土地、戸建て、マンション)の相続手続きと相続税について解説しました。不動産の中でも土地と戸建て、マンションでは相続の方法、分割のしかたが異なる点があります。種類別にチェックポイントを解説しました。また、相続税減税に大きく関わる「小規模宅地の特例」は、土地の相続にとって大切な特例ですので、相続不動産に適用できるかどうかを見てください。
第三章では、相続した不動産の売却手順について解説しています。
第四章に、よくある質問を紹介しています。同じような疑問があるかと思いますので参考になるのではないかと思います。
以上を参考にしっかりと手続きをして、相続を受け継ぎ、次へと受け渡す準備をしておくことが大切です。
不動産の相続は、専門知識が必要で、計算方法など細かく難しい部分があります。一から勉強し自分で進めることにかかる時間と労力を考えると、司法書士などの専門家に相談するという選択も有意義だろうと思います。

この記事を担当した司法書士

伊藤みゆき司法書士事務所

代表

伊藤 みゆき

保有資格

司法書士 相続アドバイザー(上級) 終活カウンセラー

専門分野

相続・遺言・民事信託・生前贈与

経歴

伊藤みゆき司法書士事務所の代表を勤める。10年以上、札幌のみなさまの相続手続・不動産の相続登記・遺言書作成・相続放棄・生前贈与等に関するお手伝いをさせていただいている。上級相続アドバイザーや終活カウンセラーの資格も取得しており、相続手続に関する適切な順序や、どの専門家へ相談するべきかについて的確にアドバイスしている。


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