父の相続で関係ないと思っていた亡弟の子も相続人であったケース
状況
相談者の父が亡くなり、相続人は相談者と相談者の姉の2人で、父の遺産を二人で相続しようと当事務所へ相談に来ました。
当事務所で父の戸籍を調査した所、父より前にお亡くなりになった弟がいることがわかりました。弟は結婚していて子供が1名おり、その後離婚し、子供は奥さんと一緒に暮らしていました。今回の場合、父の相続人は、相談者と相談者の姉と、相談者の亡き弟の子供(甥)の3名となります。相談者にこのことを伝えたところ、弟が離婚してからは甥とはまったく付き合いがなく、連絡先もわからないとの事でした。
実施
戸籍の附票で甥の住所を調べ手紙を送ることにしました。
まずは父の遺産についての財産目録を作成しました。遺産は不動産と預貯金で、不動産は相談者が、預貯金は姉が相続しようと話していたので、その内容で遺産分割協議書(案)を作成しました。また、相談者から、甥にも遺産分割に参加してもらわなければならないので、代償金を甥に支払い手続きを進めたいという意向がありました。そこで代償金についての説明を含めたお手紙を作るお手伝いをしました。
結果
甥から手紙の返事が届き、相談者の希望通りの遺産分割内容で協力していただけることになりました。
ポイント
どんなに疎遠でも、住所がわからなくても、相続権がある人は遺産分割協議に参加してもらう必要があります。相続が発生する前なら、遺言書などで遺産の分配方法を決める方法がありますが、相続が発生した後では不明の相続人を省いて手続きを進める方法はありません。離婚している兄弟が両親より先にお亡くなりになっているケースは、相続人が複雑になっている事がありますので要注意です。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人いとう事務所
代表
伊藤 みゆき
- 保有資格
司法書士 相続アドバイザー(上級) 終活カウンセラー
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・生前贈与
- 経歴
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司法書士法人いとう事務所の代表を勤める。15年以上、札幌のみなさまの相続手続・不動産の相続登記・遺言書作成・相続放棄・生前贈与等に関するお手伝いをさせていただいている。上級相続アドバイザーや終活カウンセラーの資格も取得しており、相続手続に関する適切な順序や、どの専門家へ相談するべきかについて的確にアドバイスしている。